PALM-蜘蛛の紋様#1(獣木野生/新書館 |
1997年発行の「パーム・ブック」によると、このシリーズがが終わると最終話「TASK」になるとか。但し!蜘蛛の紋様は1900~1981年、約1世紀に渡るオーガス・ファミリーの歴史「一気に駆け抜ける」と言っても、かなりの長編になりそうです。
シリーズ1巻はまだまだ現代。カーターの叔父、レイフ叔父さんが亡くなった所・・・パームが始まる寸前まで。
パームシリーズは、かなり珍しい手法を使っている作品です。
この先どんな展開になろうとも、誰も文句のつけようが無いというオソロシイ手法!!
だって、もう描いてあるんだもん。
それもちらりと描いてるのではなく何度も繰り返して触れています。人気が落ちようと反感買おうと、パームのラストは揺るがないでしょう。
これほど他人・読者を無視した作品もなかなか無いですよ。
<<褒めてるんですってば>>
・・・って褒めてる様に見えませんが^^;;)
雑誌の売上げや人気の有無をまったく気にせず、これでもかと自分をさらけ出して描いているので、結果他人・読者を無視した様な格好になっているのです。
これはこれで間違っちゃいないんですよ。
文学ジャンルなら「純文学」「私小説」なんて枠もあるくらいなんですから。商業ベースではあっても文学・文化なんて表現が似合うのはこの手の作品です。
「読者に媚びないマンガ作品」
なんてジャンルがあったら、パームを筆頭で入れときたい。
文学的雰囲気はたっぷり!80年代のアメリカTVドラマの様な台詞回しもいい。カート・ヴォネガットに女性視点を足した様な感じですね。
ハードボイルド好きな人には結構オススメ。
<<そんな作家の弱点>>
商業的にはまったく向いていない事でしょう。生涯で数本、描けるかどうか・・・でも獣木さん短編も上手いので、また描いて欲しいと願ってはいるのですが。
最大の弱点と言ったら「入れ込みすぎて世界を完全に把握しすぎてしまうこと」
展開が激しく突拍子の無い展開になりがちなんです。結末がわからないと不自然すぎて、ちょっと付いて行けない場面が多いかも。
結末バラす事で各キャラのパラメータがわかりやすいのはプラスですかね^^;)
「思い込み」が激しいってのは難点ってくらいで。作中か~な~り~オカルト臭くてね(笑)
70年当時の女性がね、バイオリズムの血液型占いのと言うなら結構わかるんですよ。日本で流行ったのはこの辺りらしいですし(獣木さんはS35生まれ)でも現代で聞いたらオー○の泉以上に胡散臭いんですよぅ~
「愛でなく」で取り上げた環境問題にしても、現実世界では反論も多数上がってます。その辺は把握されているかもしれませんけど、フィクションの物語としては、絶対正義として書かれてしまってるんですよね。
もし本当に信じていて推進&実行されていたとしても、絶対胡散臭さが残ってしまいます。
政治家のキモ入りで作られた、地球が温暖化していて危ないなんて映画、実は原発推進運動に利用されていた・・・
ってくらいに。
こんな強烈な入れ込みと思い込みがある方向に向くと、泣かずにはいられない程、強烈に心を揺さぶってくるんです。あっという間に感情の谷間に放り込まれてる?そんな不思議な感覚・・・またこれがなんともクセになるような(^^;)
いつの時代も変わらない、流行り廃りの無い作品って、いつ読んでも面白いモノですが・・・お願いですから私が死ぬ前には完結させて!( ̄ロ ̄lll)