蟲師 #8(漆原 友紀/講談社 |
どんな内容かと言うと・・・やたら詳しく書いてありますね、このオビ。
○潮わく谷
昼も夜も眠りを取らず農事に精を出す男。そしてかの地は雪の時節も青々と実りをたたえ・・・蟲師ギンコの調査が始まる。
○冬の底
春の訪れを拒む山があった。降り止まぬ雪、冬眠から目覚めぬ生命達。それは山のヌシ自らの意思・・・死を待つが如く。
○隠り江
この世にはヒト知れぬ水路が在る。時にヒトは意識に任せ、望む相手への路を辿り・・・そして互いが同時に想う。
○日照る雨
その女は、雨を告げながら旅をする。蒼天から注ぐ雫が呼び起す女の過去、それは幾粒の涙でも償えぬ数奇な巡り合わせ、
○泥の草
「死した者は山へ帰る」・・・誰しもが沼に葬られる里で、奇妙な病が蔓延する。恐れを抱く人々は言う・・・「死が伝染った」のだと。
泥の草、巻末で漆原さんのコメント「巻末に大変後味の悪いお話になってしまいました」
え?そんなことないですよ?
<<アンハッピーエンド>>
人間いい時もありゃ悪い時もある、本物の昔話だってハッピーエンドばかりじゃないんだし。
めでたしめでたしで終わる話ばかりじゃ、薄っぺらい作品にしかならないしょう。
そんな気にしなくても~全然構わんのに~
最後の「泥の草」、確かにシリーズ中でも、断ち切れない哀しさが乗り越えられないってな話は少ないですね。でも、許したいんだけど許せなくてとか、過ちを犯した自分が許せないという流れがいい雰囲気ですもん。
<<境界線>>
明確に善悪つけられない話は素晴らしいですねvv
案外悲惨で残酷な物語には、ハッキリとした悪役がいない気もしたり。全員悪役って事だったりして(笑)
本物の人間、一面だけ見て判断できませんよね。
強い人でも迷うし、疲れりゃ折れたり病んだりします。善人であろうとしても、全ての対象にとって善である事はできませんよね。感情は挫けるし、出来ない事は出来ないし、後悔しても戻らない。
そんな「人間世界の重さ」が描かれてる作品は、私にとっていい作品なんですよvv
どんなに「げろんげろん」で血飛沫脳漿飛び散ってても、はわーっと赤面しながら絶叫してしまうクサイ台詞満載な恋愛モノでも。
蟲師はちょうど中間、外で読んでも大丈夫なくらい落ち着いた静かな気持ちで読んでます。
ええ、やっぱり出先だと、血飛沫脳漿散ってる本は開けられないし、大抵の文庫はカバーかけて読んでる派。社会人のたしなみですよ^^;)