東京事件-TOKYO CASE1-(原作:大塚英志 作画:管野博之/角川書店 |
「広島・東京に続いて、東京に第3の原爆が落ちていた?!
20年後の昭和40年代、そこに一人の「時間失調症」の男がいた。
時間を移動する彼が追う「東京事件(トウキョウケース)」とは一体何なのか」
毎回濃~い原作を書いてくださる大塚英志さんですが、今作はかなり「一般向け」で読みやすかったです。大塚さん原作はちょっと・・・な方にも大丈夫そう。
台詞回しもクセが無く、なんだろう・・・昔のTVドラマ・・・そうそう怪奇大作戦でも見てるみたいだったですねぇ。もしくは新聞記者の万城目さんがやって来そうな?
<<情報の錯綜>>
戦後から昭和にかけて・・・この時代だからこそ陰謀や説明の付かない事件が通るのだと思うんです。作品の鍵である
「太平洋戦争中、旧陸軍によって時間を兵器化しようとしていた。
そこで研究されていたのは時間を行き来する薬」
もちろん開発に成功したか失敗したかは極秘。
こうやって書くと実にとんでも無いですね^^;)
ネットの無い時代。情報は統制され過ぎていたのかもしれません。メディアに流れた事は必ず正しい時代でした。今なら誰も信じない「フィクションらしいフィクション」でも、当時メディアに流れていたら?街中に科学特捜隊が走ってる時代ですからね(笑)案外受け入れられたかもーわからんですよー
ほら腕時計型の通信装置にあこがれたコトは無いかね?ふっふっふ~
<<主要な事件>>
作中で扱ってるのは
草加次郎事件(S37)
もく星号事件(S27)
光クラブ事件(S23)
三億円事件(S43)
三島事件(S45)
そして太平洋戦争、広島原爆投下
全然わからない!なんて人でも大丈夫。しっかり解説付きでした^o^)/
ま、今ならネットで簡単検索!です。「仮想の歴史」を楽しむなら、今ある歴史を知ってると数倍楽しいですからね!
いや~三億円事件の犯人「死んだ男のモンタージュ」は記憶にあったですわ~
なんか最初に作ったモンタージュが警察関係者に似すぎていて使えず、さほど似てない人の顔と差し替えられたとか何とか。そんな都市伝説。
解決しない事件には必ずと言っていいほど「それらしい話」が付くものです。
誘拐か事件か突然いなくなった女子中学生の話は、数年後、まるで本当にあった事の様に語られ始めました。
「あれは失踪では無く単なる家出だった。帰って来たけれど麻薬中毒になっていて、治療の為に東京の病院へ入院している」
近所の人同士が茶飲み話でしていても、交番に貼られた「この人を探していますポスター」が取れる事は無いまま。そしてまた数年後、その話には「北朝鮮の工作員」という名称が入る事になり・・・そう、あの事件です。
時として事実は小説を凌駕します、だからこそ「フィクション」は悲惨だろうと残酷だろうと楽しいんですよ。